真のホスピタリティとは?LGBTのカップルがWOW Uのガイドと日本を旅行してみた
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日本に5週間滞在をし、さまざまなアクティビティを体験した、アメリカからお越しのグレン氏とパートナーのマイケル氏にお話を伺いました。東京の都市部から地方のエリアまで、日本のあらゆる雰囲気を味わったお二人に、「同性愛者のカップルとして日本に来る際に何か心配なことはあったか?」「目的地をどのようにして決めたか?」などについて教えてもらいました。
現地の人たちの生活を見るのが楽しい
-今回の日本旅行ではどこを訪れましたか?また、目的地の決め方は?
東京の都市部のほか、全9都道府県の日本の田舎を訪問したいと思っていました。 東京都市部の日本人は、週末をどのように過ごすかなど、よりローカルな体験に興味がありました。 一方で、京都、金沢、松本などの都市では、人気の観光地に絞って回りました。 しかし、旅行のほとんどは、長野、石川、和歌山、新潟、山口、島根、兵庫、京都府のより都市部から離れた地域に焦点を当てました。 日本の田舎の伝統的な風習や郷土料理に非常に興味がありました。
天然藍染め
- その中で気に入った場所はありましたか?
佐渡島、山口、島根での地元の人との出会いや伝統工芸に触れられた体験は、とても楽しかったです。 たとえば、佐渡島では有名な竹細工師、山口県長門市では12代目を継ぐ萩焼職人と出会い、島根県松江市では本物の天然藍染めを体験しました。 彼らがアーティストとして作品に対して大きな愛を注いでいることに非常に刺激を受けました。 その後、城崎温泉にて書道や伝統的なわら細工も楽しみました。
※萩焼き:山口県萩市で作られる伝統的な陶器の一種。 素朴な質感で有名。
青山ファーマーズマーケットの伊良コーラ
また、東京も私のお気に入りの場所の一つです。 WOW Uガイドの久保寺節子(くぼてら せつこ)さんは、私たちに都会の週末の生活を見せるため、土曜日と日曜日にのみ開かれる青山ファーマーズマーケット@UNUに連れて行ってくれました。そこでは、 日本だけで作られる「いよしコーラ(クラフトコーラ)」を飲んでみましたが、とても美味しかったです!
相撲
また、東京の大相撲大会も観に行きました。実は、節子さんがくじで相撲のチケットを当てたようで、観に行けたのです!これは本当にラッキーでした。試合中に観客の日本人が応援している様子を見るのは、実際の相撲の試合を見るのと同じくらい楽しかったです。
もんじゃ焼き
昼食は、築地市場を見た足で月島のもんじゃ焼きを食べに行きました。節子さんが連れていってくれたお店は、地元の人で賑わう彼女行きつけの場所で、お店に入ると多くのお客さんがビールを片手にとても盛り上がっていました。活気に満ち溢れ、地元ならではの雰囲気がとてもよかったです。
おいしい昼食を食べた後は、節子さんの提案で高島屋でエレベーターガールを見に行きました。瞬きの仕方まで訓練されているようで、まるで「自然な動きをするロボット」のようでした。アメリカにはエレベーターガールがいないので、彼女たちの動きはとても興味深いものでした。
- 確かに、エレベーターガールは日本特有ですよね! 色々な場所に行かれたようですが、交通についてはどうでしたか?
主に電車移動でしたが、都市部ではタクシーを使うこともありました。東京都内や京都府内など近距離の移動はチャット機能でWOW Uのガイドに少し助けてもらいましたが、席を予約するような長距離移動は自分たちで事前にチケットを購入しました。また、近距離移動のダイヤ確認にはHyperDiaというアプリが非常に役に立ちました。とても使いやすく、迷わず移動できましたよ。
- 日本人も同じようなアプリをたくさん使っています!とても便利ですよね。ところで、以前にも日本に来たことはありましたか?
私はかつて客室乗務員をしており、夫は現在も客室乗務員として働いているので、日本には何度も行ったことがあります。しかし、ほとんどは東京とその周辺でした。
- 今回は日本に来る前に何か心配なことはありましたか?
私は日本に限らず、約35年間世界中を旅してきましたので、今回の日本についても心配は全くありませんでした。強いていうならば、費用かもしれません。日本はほとんどのものが高価なので、特に贅沢な旅にしたいと思ったら、かなり高額になりますね。その覚悟はしていました。
他の点で言うと、国によっては「結婚していますか?」「子供はいますか?」といったパーソナルな質問を気軽に尋ねる所もあります。しかし日本人は通常、初対面でそのような個人的な質問をする習慣はありません。今回の旅でも、ほとんどずっとパートナーと一緒にいましたが、ガイドや地元の人とそのような個人的な話題にはなりませんでした。出会った人ほとんどが、私たちがカップルだったのか、兄弟だったのか、それともただの友達だったのか、分からなかったと思います。
-日本人は時々「それは、ガールフレンドへのお土産ですか?」といったような質問を悪気なくしてしまうことがあります。悪気がなかったとしても、そのような質問は気になりますか?
特に不快感を感じたりはしませんが、その時の状況や旅行先によって感じ方が異なる可能性はあると思います。時と場合によって、「私にはガールフレンドはいません」と答えることもあれば、「夫がいます」と言うこともあります。ついしてしまう質問に関しては「ガールフレンドへのお土産ですか?」の代わりに、「お土産を買ってあげたい人はいますか?」 または、「お土産を渡したい特別な人はいますか?」といった聞き方の方が好ましいかもしれませんね。ガールフレンド/ボーイフレンド、夫/妻と決めつけるべきではないと思います。
山のような情報から目的地を決めることの難しさ
- ガイドを申し込んで観光された所もあったようですがいかがでしたか?
地方で、普段あまり外国人旅行者が訪れていないような、英語の標識が少ない場所ではガイドは重要だと思います。都市部から外れた場所ではコミュニケーションが難しいと感じたこともあったため、翻訳してくれるガイドがいたことはとても心強かったです。
また、翻訳だけでなく、旅行者の興味に合わせておすすめスポットを提案してくれることも便利な点ですね。東京や京都のような大都市には数え切れないほどの観光地があるため、特に時間が限られている場合は、時間内に収まるようどんなルートでどこに行くべきかを決めるのは難しいものです。その点ガイドがいると、おすすめの観光スポットを教えてくれるだけでなく、予算や時間を考慮して、レストラン、宿泊施設、さらには最適なルートまで提案してくれます。
- たしかに、溢れている情報から本当に欲しいものを見つけるのは難しいですね
難しいですし、時間もかかりますよね。 特に地方のウェブサイトは複雑だったり、英語ページを持っていないか、あるいはあったとしてもうまく翻訳されていないことが多いです。
また、1つ分かったことは、日本のウェブサイトはあらゆる情報をページに盛り込んでいるせいか非常に分かりにくいということです。アメリカのウェブサイトではあまりそのような作りは見ません。できるだけ多くの情報を並べるのではなく、クリックさせたいと思わせるような、ユーザーを引き付けるレイアウトとデザインになっていると感じます。
京都にて
旅の最後で訪れた、城崎温泉、宮津(天橋立)、伊根では、観光地域作りを行うDMO(Destination Management Organization)の代表者が周辺を案内してくれました。おかげでとても楽しい思い出となったと同時に、 地方では特に自分たちでどこへ行くかを決めるのはとても大変だと感じました。 ガイドがいることで、その過程がとても簡単になります。知識豊富なガイドと一緒に旅をする機会があったら、ぜひ彼らのおすすめや提案を聞いてみてください。日本での体験を最高なものにしてくれるでしょう。
多様性について考える
- EXestでは、様々な国籍、性別、食事の好みなど、多様性に富んだWOW Uガイド/ WOW Uメディエーター※をご用意したいと考えています。 Glennさんご自身は、LGBTのガイドやメディエーターに依頼したいと思いますか?
今回の旅行では、日本のゲイカルチャーを知るという目的ではなかったため、ガイドがLGBTであるかどうかは重要ではありませんでした。 しかし、大都市(特に東京)では、レストラン、飲み屋、カフェ、LGBTの人たちのための場所など、LGBTの世界に焦点を当てて街を探検するのもとても楽しいのではないかと思います。そして、そこにLGBTのガイドがいたら、これまで知らなかった新鮮な面が見えたり、慣れない国で快適に旅ができると思います。 ただ一般的には、知識が豊富で、順応性があり、コミュニケーション力が高いという要素がガイドには重要だと思います。
※WOW Uメディエーター:自身がコンテンツとなって日本の素晴らしさを世界に発信するローカルガイドのこと。自分の趣味やスキルを活かして訪日外国人をガイドできる人。
- 最後に一言お願いします!
WOW Uガイドが私たちの好みに合わせて柔軟に対応してくれたことにとても感謝しています。 アメリカ人旅行者は、もしかしたら当初のスケジュールにはないことを要求する傾向が強いかもしれません。 ガイド経験が浅い場合、計画とは異なることを要求されると動揺したり混乱したりしてしまうことがありますが、WOW Uガイドはとてもオープンマインドで、親切にスケジュールを調整しようとしてくれました。そのおかげで楽しい時間を過ごすことができました。
編集後記
本インタビューでは、日本を訪れるLGBTの人々にとってのガイドの価値に焦点を当てたいと考えていました。 ガイドがLGBT旅行者の不安を和らげる助けになり得るかを確かめたかったのです。グレン氏に話を伺うと、日本でのLGBTの旅行についてあまり否定的な意見はありませんでした。
大事なことは、ガイドがLGBTの人々を特別扱いしないのが重要であるということでした。もちろん、時には配慮が必要な場合もありますが、区別して扱う必要はないということです。 ガイドがLGBTを「理解すること」が重要です。LGBTを他の人と違うと考えるのではなく、他の観光客をガイドするのと同じようにガイドすべきです。 LGBTを気にしないわけではなく、LGBTが他の人と同じであると理解しているからです。今回のインタビューで、 これが真のおもてなしだということが分かりました。
結果は当初の予想と異なるものになりましたが、本質的な答えが得られたと感じています。
グレン氏がこの旅行を楽しめたようでなによりです。また彼の体験をシェアできることに感謝します。
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