地域の団結力が生み出す、金沢育ちブランド「金沢すいか」
地方には並々ならぬ情熱・こだわりを持って生まれる食材や伝統工芸などが数多く存在します。それらの品質が一級品であることはもちろん、その背景には生産者の想いや今に至るストーリーがあります。
「日本全国・地産伝承 いき物語」では、 テレビ局が地元で活躍する人を深掘りすることを通して地方の魅力を伝え、 地元でしか流通しない特産品や伝統工芸品などを紹介します。
今回の主役:清水 大志さん(JA金沢市 西瓜部会 副部会長)
石川県金沢市の、日本海側に連なる海岸砂丘地で作られる「金沢すいか」。
毎年6月上旬〜7月下旬に出荷され、地元のみならず全国に販路を広げています。金沢市ブランド協会認定の「金沢そだち」や、持続的に農業を行うための取組「いしかわGAP」にも認定されており、近年ますます勢いを上げています。
出演:田村淳さん(ロンドンブーツ1号2号)、森本英樹さん(ニブンノゴ!)
【目次】
- 砂丘地で育つ「金沢すいか」とは?
- 若手が中心となり、地域一体となって行うすいか作り
- 女性のアイデアを活かしたブランディング
- 「金沢すいか畑」のオーナーを募集します!
- 出演者からのメッセージ
砂丘地で育つ「金沢すいか」とは?
清水:「砂丘地」って皆さんイメージがなかなか付きづらいと思うんですが、海辺をイメージしてください。海辺の砂浜ですね。環境的にはああいう環境に、すいか・大根・さつまいもがなっているような状況です。
森本:なんか、「砂丘で育つのかな」と思ってしまいますよね。
田村:土に栄養がないイメージですけどね。
清水:砂なのでしっかり肥料とか入れてあげないと植物は育たないですね。
田村:へぇ。でもすいかを作るのは砂丘地が適しているんですか?
清水:そうですね。でも全国的には泥とか火山灰とかいろいろあるんですが、僕たちの金沢につきましては砂丘地ということで、砂丘地の特色は水はけがいいことです。
すいかは病気に弱い作物なんですね。出荷時期である6~7月は、梅雨が長引くこともあるのですが、降雨によって、すいかの糖度が薄くなる場合もあるんです。ですが、砂丘地に関しては、水はけがいいことで玉に水分が残りにくいということで、糖度が高い状態で出荷することができます。
田村:え!じゃあすいかにとっては水がないほうがいいんですか?
清水:英語で “watermelon” と言うんですけど、栽培期間中は水は大事です。しっかり水をあげないと、果実が太らないので水は必要ですね。ただ出荷直前、「あと10日くらいで食べれるかな」ってなっていくと、水をあげる時間を短くしていって、糖度を良くするために水きり等を行っています。
田村:へぇ~、じゃあ水を加減するのが難しいんですね。
清水:そうですね、泥地だと難しいと思います。砂丘地だと泥に比べれば管理がしやすいと思います。
田村:そうか、砂丘地だとコントロールしやすいのか!
森本:スプリンクラーが設備されていて、水をあげるということですね。
田村:なるほどね。トマトとかって水を与えない方が、頑張って遠くに根を張って水を取ろうとして、それで糖度が増していくって話を聞いたことがあるんですけど、すいかの場合は出荷直前に水を与えないようにすると、すいかの中で水を貯えようというパワーが、甘さに変わっていくっていうことなんですかね。
清水:そうですね、凝縮されるってことですね。
・・・
森本:糖度の高いシャリっとしたすいかが食べられるということなんですけども、淳さんのもとにもすいかがあると思うので。
田村:切りましたけど、めちゃめちゃでかいんで、家にある一番でかい包丁でも何回かに分けて切らないと切れませんでしたね。
森本:1回で「すこん」と行けなかったってことですね。今から目の前で切っていただきます。
田村:どれくらいの包丁なんだろう?
森本:なかなかでかいですよ、
田村:でかいなぁ!
清水:すいか専用の包丁というのがちゃんとありまして、
田村:どこに売っているんですか、すいか包丁って。
清水:お近くのJAによろしくお願いします!
一同:(笑)
田村:ちょっと見せてもらってもいいですか?
清水:はい。すいかを切るポイントなんですが、すいかのおいしいところは中央です。
縦から切っても横から切っても、中心を捉えていただければ。ではまず、縦に切ります。
森本:よく切れるなぁ。真っ赤!
田村:わぁーきれい!これすごいな、(中身が)詰まっていますよね。俺の嫌いなぼさぼさ感がない。ぎっちりだなぁ。
森本:パンパンに入ってますよ。もう甘い香りがしてきますもん。
田村:いい音だね~
清水:すいかは中心が一番甘い感じになります。切るときはまずセンターを捉えていただくような感じですね。
森本:これあります?淳さん。(種とりスプーンを取り出す)
田村:そうなのよ、それびっくりしたのよ、種取り棒みたいなの。
清水:これは生産者の女性部、生産者の奥さんが考えました。
田村:それあるとね、めちゃめちゃ取りやすかったよ、種。
・・・
田村:ではいただきます。うまい!!あまい!!ぎゅっと詰まっているわ、甘さが!!めちゃめちゃみずみずしいよ。なんかね、液体食っているみたい。歯ごたえはあるんだけど、この質量でこの水分が出てくるのかというくらい、口の中でワーッとならない?
森本:なりますね。シャリシャリすごいですね、ほんとに!
田村:近所のスーパーの(すいかの)ぼさぼさ感が一切ない!
森本:これは、すいかのイメージが変わる。めっちゃうまい!
田村:皮の方に近づいても、中央に比べると甘さは変わってくるけど、それでも甘いよ。端っこの方でも。
清水:そういうすいかづくりを心がけていますので。
田村:最後までおいしく食べられるみたいなことを考えているんですか?計算してやれるもんなんですか、皮の際までうまいみたいなのって。
清水:そうなるように心がけてはいます。
田村:すげーなーちょっと、関心するなぁ。俺の今までのすいか人生で言うと、端っこの赤からピンクになってきているあたりはもう、食べたいんだけどそんなに甘くない、でもすいかの余韻で食べるみたいなのがあるじゃない。
森本:キンキンに冷えていなくてもいいんだなぁ。
田村:だって俺、常温だよ?
清水:すいかのおいしい食べ方というのは、逆にキンキンに冷やさないで、常温に近いほうがいいです。冷やしすぎると甘さがぼけてくるというか、玉の状態ですと食べる1~2時間前に冷蔵庫に入れて、ちょっと中が冷えたかなっていうくらいで、ほぼ常温でいいと思います。
田村:でもこれ、金沢すいかだから常温でいけるような気がするなぁ。
清水:そう言っていただけると嬉しいですね。
田村:他のすいかをディスりたくもないですけど、うちの近所のスーパーのすいかは、冷やしてぼかしているくらいがちょうどいいのかなっていう。でもこれ(金沢すいか)は常温でそのまま食べたほうが甘いから。
清水:出荷時は一軒一軒ちゃんと中身を確認して、こういう状態(端まで真っ赤な状態)になるまで出荷させないという状態になっていますので。
田村:すいかのこの部分(食べ終わった皮)を切って、好きな日本酒をかけてしばらく放置しておくと、すいかの香りがする日本酒になるんです。すいか酒みたいなのができるんですけど、そういうのなんかないですか?裏技的な。
清水:結局大玉すいかが売れづらいのは、ゴミの問題ですよね。すいかは好きだけどゴミが出るのが嫌だっていう方がおいでますので。そういう場合は、果実を食べていただいて、あとはピーラーなどで皮の部分を削いでもらって塩もみや、千切りにしていただいてきんぴらでもいいですし、漬物でもいいですし、お好みで食べていただければ本当にゴミは皮だけになってしまいますので。おいしいですよ。
・・・
田村:ちょっと!大事件です!すいか大好きの嫁が、残しておいたすいか半玉を全部ぺろりと平らげて。この短時間で!「えっやばい、生まれてきて食べたすいかの中で一番うまいんだけど!」って!うまくて止まらなくなったって。半玉って相当でかいから!
田村:ずっと「いくらなの?いくらなの?」ってずっと聞いてくるから。
森本:通常4,000円ちょいするんですけど、777玉限定で600円安く変えるっていう企画があって。あと300玉くらいは3,580円で買えます!
田村:ちょっと(奥さんに)伝えに行っていいかな?
(その後)「これは2万」って言ってたよ(笑)普段は冷静なんですけど、このすいかに関しては常軌を失っている感じでしたね。
若手が中心となり、地域一体となって行うすいか作り
清水:当産地では、すいか栽培の中で肥料設計や生育などの目安を考えるのがほぼ若手になっています。若手を中心にやっています。他の産地の方ですと、たいがい50~60代、若くても50代の方たちが先頭を切ってやっているわけですが、当産地につきましては20~40代が中心でこの産地を盛り上げていっているような感じですね。
田村:何でそんなに世代交代がうまくいったんですか?
清水:この世代交代っていうのは、いろいろな産地の背景とかもあると思うんですが、昔からこの産地はこの形態を持っていまして。先輩方が若手たちを見守ってくれるというか、育てているという感じで、応援してくれているという感じですね。
田村:国会の人たちに聞いてもらいたいよね。それでもちゃんと技術が継承できていっているというのがすごいですしね。
森本:地域の方のサポート体制が整っているっていうことですよね。
清水:そうですね、思いもよらない時は先輩方の知恵もお借りしながらやっていますね。
田村:わからないことがあったり困ったことがあったら、「困ったよ」と言える場所があるんですか?
清水:そういう、集まっていただくこともあります。この産地はやっぱり「オール金沢」でやっていますので、「金沢すいか」に向かってやっていっていますので、個人で技術を隠すとか、そういうのがない。
森本:みんなで共有して、皆で盛り上げようとしているんですね。
清水:そうですね、隠すのではなく共有し合って、産地全体を底上げしています。
田村:そういう地域は今後強いよね。
女性のアイデアを活かしたブランディング
森本:金沢すいかのロゴは、女性の農業者が考えたんですよね。
清水:そうですね。先ほどお話にありました、種とり用スプーンも女性部が中心に考案したものですね。
森本:この発想が良いですね、食べやすさとかかわいらしさがありますね。
清水:昔は堅苦しい、堅い感じの文字だったんです。
森本:そのマスクもまたかわいいですね。
田村:めっちゃかわいいです。すいかと一緒に入っていたんですけど。デザインもかわいいんですけど、マスクとして優秀ですよね。マスクとして相当良くない?
森本:ちゃんと実用性も考えた、ただの宣伝じゃない感じで作られていますね。
田村:これはやっぱり女性が多く入ってきたからこそ、出てきたアイデアなんでしょうね。
清水:そうですね。男性だとこういう発想はなかなかできないので、女性の方は販促資材の考案とか、あとは量販店などですいかの売り込みにも協力していただいてます。
田村:なるほどね。だからブランディングがうまいんだと思うんですよね。金沢すいかのロゴもそうですけど、これ全部ブランディングなんだと思います。
田村:これが新しい農業の形ですね。良い部分は継ぐんだけど、これから必要なものは、その時代に生きている人が一番感度が高いので。それをこの農業という第一次産業で表せているというのが、JA金沢市がすごいのか、この地区がすごいのか。ほんと金沢が一体となって、自分たちのいいものを世の中に広めていきたいという想いが伝わってきて、金沢市じゃないのに応援したくなるっていうのはそういうとこだと思いますね。
「金沢すいか畑」のオーナーを募集します!
森本:一番おいしいすいかっていうのは、どのような時に食べるすいかなんですか?
清水:昼夜の寒暖差がありまして、寒暖差によって糖度が上がっているというのもひとつの要因なんです。朝晩が冷えるという中で、朝露がのった状態のすいか、収穫の時にそのまま食べるのが一番おいしいですね。
森本:作業した人しか食べられないですね。
清水:そうですね、生産者の特権ですね。
森本:このオーナー制では、7月に収穫体験を実施しまして、おいしいすいかを分かち合えるコミュニティづくりを目指しております。一緒に金沢すいかを盛り上げることができるシェアオーナーでございます。
田村:すいかカレーってどんな味なんですか?
清水:すいかカレーは、カレーを作る時の水分をすいかの果汁で作っています。スパイスが効いていますので、甘いというほど甘くはないですが、お子様でもおいしく召し上がれるかと思います。
森本:どうしてこのオーナー制をやろうと思ったのですか?
清水:ファンコミュニティができることや、消費者の方の顔が見えたり、生産者の収益安定ということで、それを狙ってやっています。
森本:このオーナー制で、コミュニティができて盛り上がって、生産者の収益も安定すると。みなさんも参加することで、ただ買う時よりも楽しみが増えればいいなというオーナー制でございます。
田村:たぶんうちの奥さんがオーナーになると思うよ!
■「金沢すいか畑のシェアオーナー」
https://www.pocketowners.com/products/3
※2022年のオーナー募集は終了しました※
出演者からのメッセージ
ロンドンブーツ1号2号 田村淳さん
だいぶすいかに魅せられましたね。なによりも、うちの奥さんがすいかでこんなに喜ぶっていうのが嬉しかったので、今後の誕生日(のプレゼント)はすいかにしようと思いますね。
JA金沢市 西瓜部会 副部会長 清水 大志さん
金沢すいかは6月〜7月の2か月あまりの出荷期間なので、その期間に存分にすいかを味わっていただきたいと思っております!よろしくお願いします!
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