トップオブレンコン「加賀れんこん」の人気の秘密を探る
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地方には並々ならぬ情熱・こだわりを持って生まれる食材や伝統工芸などが数多く存在します。それらの品質が一級品であることはもちろん、その背景には生産者の想いや今に至るストーリーがあります。
「日本全国・地産伝承 いき物語」では、 テレビ局が地元で活躍する人を深掘りすることを通して地方の魅力を伝え、地元でしか流通しない特産品や伝統工芸品などを紹介します。
今回の主役:JA金沢市 加賀れんこん部会 部会長 北博之 さん
れんこん業界の中でも一目置かれる存在、加賀野菜「加賀れんこん」。その歴史は古く、味の多様性により、さまざまな料理に使われています。れんこんとしては全国的にも珍しく、積雪地帯で育つため、デンプン質が多く身が締まっています。
今回の「いき物語」では、加賀れんこん部会の北 博之(きた ひろゆき)さんに、「加賀れんこん」の栽培の苦労や喜び、想いを語っていただきました。
出演:田村淳さん・キクチウソツカナイさん
●伝統野菜の一つ、加賀れんこん
キクチ:加賀れんこんは、擦ってお料理に使うことがあるそうですね。
田村:蓮根を擦るとどういった味がするんでしょうか。
北:金沢には元々蓮根を擦る文化がありまして。お味噌汁とかお鍋に用いたりと、昔からある調理方法です。これができるのは、加賀れんこんの特徴である独特の粘りによるもので、このような料理調理方法が昔からあります。
キクチ:加賀れんこんの粘りがあるからこそ、この擦ったお料理ができるんですね。
北:味噌汁の具材に、蓮根のすり下ろしが入っていると思ってもらえれば大丈夫です。
田村:へえ。れんこん汁ですか。
北:そうですね、蓮根のお味噌汁と思ってもらえれば。
キクチ:加賀れんこんは、つなぎなしでお団子状態にできるので、蓮根独自の味が味わえます。
キクチ:擦ったものをそのまま団子にできるということですね。
田村:加賀れんこんの粘りがあるからこそ、この形状をつなぎぎなしで入れることができる、ということですね。
北:そういうことです。
田村:お味の方はどうなんでしょうか。
キクチ:せっかくなのでいただいてみます。うん、おいしい。
田村:へえ、粘り系が感じられるんですか。
キクチ:粘り気もあって、蓮根ってイメージ的にはシャキシャキしてるんですけども、すごい、この柔らかさと風味みたいなのが、レンコがこんな柔らかい形で食べれるのは初めてです。僕。初めてです。蓮根でこの感じ、初めてで...わぁ美味しい。
キクチ:出荷出荷状況みたいなもので言うと、今どういった感じになってるんですか。
北:今はちょうど蓮根がおいしくなる時期に向かっていきますので、生産者は頑張って出荷しているところです。
キクチ:石川県では、これだけたくさん蓮根ができてることも、知らなかった方が多いと思うんですけども。
北:そうですね。産地としてはそんなに大きくはないんですが、「加賀野菜」と言われるように、昔からある伝統野菜なので、ちょこっとの人は知ってるかなっと思います。これからはもっともっと宣伝していきたいなと思ってます。
キクチ:なるほど。出荷量も全国でも上位に食い込むぐらいの多さで、しかも消費量は全国でトップということなんですね。
北:消費量はトップに近いところです(笑)。
キクチ:トップレベルの消費量だ、ということなので。我々よりもたぶん金沢の方は蓮根に慣れ親しんでいるのかな、という感じですね。
北:そうですね。
キクチ:加賀野菜ということで有名ではありますけども、その中でもやはり代表的な蓮根なわけですね。
北:はい、そうです。
キクチ:これは、金沢の土壌で蓮根が育つような何かがあったんですかね。その...特徴みたいなもの。
北:特に、金沢は四季がしっかりしてます。春夏秋冬、暑い寒いがしっかりしてるので、そこでしっかり味が乗るということで、今、美味しくいただいているのかなと思われます。
キクチ:加賀れんこんの歴史というのが、実は300年ぐらいあるものだということで。やはりこういうこともね。やっぱ知らないことが多いです。
ちょっとぜひ、淳さん。れんこんチップスをお召し上がりいただいて感想いただけたらと思います。
田村:いただきます。うわ、香りがすっごくいいですね。
北:ありがとうございます。
田村:これもうまるまる切って揚げてるだけですか。
北:そうですね。スライスして揚げてるだけです。
田村:いただきます。あ、美味しい!ちゃんと蓮根!これ、ヘルシーでしょ。このまま蓮根だから。
でもちゃんと食べ応えがあんのよ。ポテトチップって、カロリーが高いみたいのあるじゃないですか。でも蓮根ってそもそも栄養価があるので、チップスになってるのはすごくいいですね。酒のつまみにいい。
キクチ:ぜひれんこん焼酎と一緒に食べていただくと最高かなと思います。北さん、れんこん焼酎には何か特徴があるんですか?
北:はい。焼酎は、レンコンの風味をかしたかったのですが、まあなかなか出なくて...基本的に私がお酒が好きっていうことで作らせていただきました。
キクチ:「自分の好きなものを、好きな蓮根でやってみよう」なんていうことなんですかね。
北:そうですね。
田村:れんこん焼酎って、そのまま飲んだ方がいいんですか?
北:麹が強めに入ってるので、ストレートだとちょっと濃いかなとは思うんですが...。
田村:僕、いつも芋焼酎ソーダ割りしてるんですよ。ソーダ割りでもいいですか。
北:いいと思います。
キクチ:お酒好きな方に、ぜひ感想、伝えていただきたいですよね。
田村:私は、芋焼酎、栗焼酎、黒糖焼酎...って焼酎が好きなんですよ。れんこん焼酎は飲んだことないですけど...。
キクチ:これはラインナップの1つに入れてほしいですね。
田村:この番組でも以前紹介しましたけど、石川県の五郎島金時の焼酎を飲みましたけど、僕はリピーターになってますから。五郎島金時の焼酎。
蓮根が焼酎になるって、ちょっとあんまりイメージがつかないですけどね。
田村:これはでも、お酒が好きな北さんだからこそ作ってくれたということなんで。
田村:北さんがどうしても叶えたかった夢ですね。
北:そうです。
田村:うわ!うまい!抜けがね、めちゃめちゃいい。なんかね、スッキリしてる。香りがそうでもないって言ってましたけど、独特な香りがあります。れんこん焼酎の香り。
芋焼酎みたいなガツンっていうのではなくて、女性が好きな焼酎っぽい。俺はどちらかというと芋焼酎の中でも、ライチっぽい香りが立って、飲みやすい方が好きなんです。でも、それよりも飲みやすい。いつもより濃いめに入れたんですけど、やさしい(味)。
北:スッキリ目で飲めると思います。
キクチ:飲みすぎ注意ですね(笑)。
田村:こんなに後味のいい焼酎は初めてかもしんない。れんこん焼酎、俺流行ると思うよ。
キクチ:これは嬉しいですね。
田村:お肉と合わせるっていうよりかは、和食と合う。優しい味付けの料理には、すごくいいと思いますね。
キクチ:なるほど。かなり柔らかい感じの飲みやすさが際立っているという感じですかね。
田村:わたしは、鶏肉...塩味の鶏肉だから、焼き鳥とか、塩の焼き鳥とかと合うと思う。
キクチ:全国の焼き鳥屋さん、お願いしますね。
田村:焼き鳥屋さん、言うべきだと思いますよ。焼き鳥ってなんか、今まで合わせるお酒って、もうお客さんに好きにどうぞって感じでしたけど、「お客さんレンコン焼酎飲んだことあります?これ、塩塩の焼き鳥と合ううんですよ。」つったらもう間違いないです。
●根気と熟練の技が必要なれんこん栽培
キクチ:蓮根というのは、収穫の仕方もかなり独特だったりするわけですよね。
北:そうですね。1年がかりでやってるって感じなので。4月に種植えをして、そこから順番に葉っぱが上がる。で、途中途中で追肥などで肥料をあげたりしながら育てます。で、我々のところは、8月から収穫をスタートします。
キクチ:じゃもう、今ほんとに旬をちょうど迎えているということですね。
北:そうですね。
キクチ:何しろ、水中の中のものを収穫するわけですもんね。かなり収穫も大変なんじゃないですか?
北:そうですね。確かに大変ですけども、我々のところでは収穫方法が2つありまして。
くわ堀りといって、一度田んぼの水を抜いて、鍬1本で泥をよけてれんこんを掘り出す。
キクチ:これは力仕事でしょうね。
北:はい、これはかなりヘビーです。
北:もう1つが、水堀りといって、水の水圧で泥をよけて蓮根を掘り上げる、この2つの方法で行なっております。
キクチ:1本が大きく繋がった形が、基本的には全部繋がった1本ということですね。
北:はい1本になります。
キクチ:それを切って販売しているってことですかね。
北:そうですね。我々はそのまま1本で出します。
キクチ:出荷するときは、大きな状態のまま?
北:大きな状態のままです。
キクチ:レンコンの収穫は、身近ではなかったりするので、どれだけ大変かを見ていただきつつ、味わっていただきたいなと思います。
さて、生産者の方々が今直面している困っていることだったりとかも、ちょっと聞かせていただきたいなと思いますが、いかがでしょうか。
北:大きくあるのは、新規で入られる方が少ないっていうことがあります。あとやっぱり今のコロナで、なかなか消費者の方と対話できないっていうことがあるので、それがちょっと困ったところではあります。しかし、新たな手立ても今考えております。
キクチ:なるほど、どういった手立てを考えていらっしゃるのか聞いていいですか。
北:11月からキッチンカーでの販売も開始する予定です。
田村:あらかわいい。
キクチ:こちらはどういった形でやっていく予定なんですか。
北:これまで、我々はスーパーとかいろんなところ行って、消費者の方とお話しながら販売していました。それが今できなくなったっていうことで、今、このキッチンカーを使って製品を出したり、ドーナッツとかチップスなどの加工品なんかを、いろんなところで消費者の方と繋がりながら販売していけたらな、という思いで、このキッチンカーを作りました。
キクチ:キッチンカーは、実際に街中などでも販売をしていく予定なんですね。
北:はい、今のところはいろんなところで販売できたらなっていう思いで、今、あの構想を考えていますね。
キクチ:これから活動の幅を広げていこうという活動ですね。
●歴史ある加賀れんこんを守り、広めるシェアオーナーを募集します!
キクチ:シェアオーナーのお話についても聞かせてください。
北:我々が作っている蓮根の畑は、オーナー制ということで、個人の方が区画を設けてそこで掘り上げた蓮根を皆さんのところに発送するという仕組みです。
キクチ:オーナー特典として、たっぷりいろんなものが付いていますけど、蓮根を定期配送というのは、もちろん採れたての旬のものを送っていただける、ということですよね
北:はい。
キクチ:れんこんの加工品セットっていうのは、どういったものが入ってるんですか。
北:チップスとか...そのほかは届いた時のお楽しみということで。
キクチ:オーナー特典なんですけど、収穫体験もできるわけですね。
北:はい、今年8月に行ったイベントを、また来年度もやりたいと思います。
キクチ:これはご家族とかで参加するのは楽しいかもしれないですね。
北:なかなかこういう収穫体験はできないので、楽しいと思います。
キクチ:お子さんが楽しんでる映像もありましたんでね。ぜひご家族でも参加していただけたらと思います。
キクチ:オーナー看板の設置はどういったものでしょうか。
北:これは本当にわかりやすく、個人個人の名前などの看板を区画に立てます。
キクチ:なるほど。そして、キッチンカープロジェクト。これがいよいよ始まるとのことですけども。これもシェアオーナーになっていただけると、何かしらプレゼントなど考えてます。
田村:ありがとうございます。北さんの話をもうちょっと蓮根の想いを語っていただきたかったんですけれども、回線の調子が悪いようですね。
(れんこん焼酎を飲みながら)こんな日はあれですね、飲むしかないですね。飲むことで、北さんの思いに触れることができますので!
では、今日はありがとうございました。
出演者からのメッセージ
** 田村淳さん **
田村:北さんが、どんな思いでレンコンを作ったのか。そしてJA金沢市さんは、ものすごく新しい取り組みをすごいしている。日本各地にJAさんってあるんですけど、JA金沢市さんは、農業をどうやって守るかとか、その地域に根指した農業ってどうやったら、持続可能な農業ができるのかを本当に考えてるJAさんなんです。
だからこそ、僕もこの「いき物語」で何度も何度も、JA金沢市さんの商品に僕は東京にいながら触れることができるんですけど。今、皆さんが思ってる以上に、れんこんチップスとれんこんの焼酎はかなり相性がいいです。
僕も五郎島金時でさつまいもの畝でオーナーになっているんですけど。1年間通してオーナーをやってると「あ、(さつま芋は)いつできるんだろうな」っていう楽しみと、年から年中、自分が好きな作物のことを考えれるっていうきっかけがこのシェアオーナー制度にはあります。
ぜひ蓮根に興味のある方は、北さんのプロジェクト、シェアオーナーになっていただけたらなと思います。
何よりも、自分がオーナーの畝なので、届いた時に「これ、僕の畑で取れたやつなんだよ」って言えますからね。ご近所さんに「たくさんもらったんでお裾分け」じゃなくて、「自分が育てた蓮根をご近所さんに配る」っていう体験が、オーナーになるとできますね。
ぜひ皆さん、加賀のレンコンに触れてみてください。ありがとうございました。
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